top of page

 07.土曜日・午前中

1、土曜日・午前 

  探索開始日である金曜日は主にいなくなった大村純一の痕跡を追いつつ、比較的自由に情報を集めることができる日だった。それに対

 し、この土曜日からは狂信者や黒羽の動きが活発となり、シナリオのテンポが上がっていくだろう。シナリオのキーとなるイベントとして

 は、午前中に発生する『吊るされた男』と、午後に発生する『たった独りの脱出劇』だろう。それに対し探索者がどのように反応し、行動

 を起こすかで今後の展開は大きく変わるだろう。

  ただし、イベントNo.008で大村を救出していた場合や、イベントNo.203で黒羽を助けることができた場合は上記のイベントが発生しない

 ことも想定される。

○イベントNo.201『吊るされた男』

 ・イベント日時:いつでも。ただし、後述のイベントNo.203との兼ね合いがあるため早い方が良い。

 ・発生条件  :イベント№008において大村が拉致されており、なおかつ探索者が屋外にいる

 ・発生する出来事

   尋問されていた大村純一が死亡し、その死体が電柱から吊るされる。えんふくさまによる記憶操作の影響により、黒ヶ峰町の住人は電

  柱に吊るされた男の死体に対して疑問を持つことはない。ごく当たり前の、何ら異常はない景色の一部としか認識しておらず、騒ぎ立て

  ることはおろか警察や診療所に連絡を取ろうともせず、犠牲者の身体を下ろすこともない。探索者がこの異常事態を訴え出たとしても、

  住人達は快活に笑いつつ口々に「大丈夫大丈夫」と答えるだけである。

   この吊るされた死体の目的は、端的に言えば踏み絵である。前述の通り、記憶を操作されている黒ヶ峰町の住人はこの光景に疑問を持

  つことすらない。騒ぎ立てるとすれば、それは記憶を取り戻しかけている人物に他ならないのだ。そのため、金曜日にどれだけ情報を集

  め、このイベントに対応するかで今後の難易度が変わってくるだろう。

 

   探索者が町を歩いていると、ふと視界の上方に何か異物が映った。それは1mと数十センチはありそうな大きな赤黒い塊だった。木製の

  電柱から伸びる太い荒縄が首に巻き付き、時折吹く風によってゆらゆらと宙で揺れている。その全身にこびりつく血が赤黒く変色し、糞

  尿は血と混ざりあってぼたぼたと地面に垂れ流されていた。衣服は剥ぎ取られ、むごたらしい傷跡が晒されている。

 (探索者が診療所や黒田織物工業に勤めており、大村純一と面識があるか見かけたことがある場合は)

  色々な液体でべたついた髪が張り付いているあの顔には見覚えがある。無惨に腫れ上がり、至るところに傷があるがあれは間違いなく大

  村純一だ。

   その全身は見るも無惨な有様だ。傷が付いていないところを探す方が難しいくらいで、手や足の指に至っては何本も欠けている。吊る

  されたあの男が何者かはよく知らないが、このような有様には同情を禁じ得ない。

 (SANチェック→1/1D6、大村純一と面識がある場合はそれぞれ+1/+1を加える)

  

 <医学>→大村純一の死体

   遺体が吊るされている以上目視でしか判断することができないが、あの有様はあんまりだ。特に、欠けた手指や足趾、何かの液体を流

  し込まれて潰されたと思われる両目、肉を削ぎ取られた両手両足が彼にどれほどの苦痛を与えたかなど想像すらできない。まさに死んだ

  方が幸せという状態だろう。

 (SANチェック→0/1。<医学>に成功した場合、上記SANチェックに加えてこの判定がある)

   上記に加え、<人類学>または<歴史(-20%~-30%の補正あり)>にも成功した場合古来より中国では、松脂を流し込んで目を潰す拷

  問や、肉を徐々に削ぎ取って犠牲者を処刑するおぞましい手法が用いられている。これらの常軌を逸した残虐な手法は、まさに大村純一

  に用いられたものと酷似していた。
   ここまでが吊るされた大村純一から目視で得られる情報である。彼の死体を下ろし、さらに詳しく調べた場合は以下の情報が得られ

  る。

 

 <医学>→大村純一の遺体

   死後硬直や血液の乾燥や酸化による変色の具合から判断するに、彼はおそらく午前3時頃に命を落としたと思われる。首に残る荒縄の痕

  から推測するに、これは死後しばらく経ってから縛られたものだろう。死因はおそらく失血死で間違いないと思われる。

 <博物学>→目に流し込まれた液体の痕跡

   これは松脂を高温で熱して溶かしたものが、再度冷えて凝固したものだ。損傷した眼球や瞼が凝固した松脂で固まり、なんとも痛まし

  い有様である。

 <目星>→大村純一の遺体

   電柱から下ろした大村純一の身体を調べていると、遺体の掌に目が留まった。ひどく歪な線であるが、「口」という形のひっかき傷の

  ような痕がある。その反対側の手にまだ付いている指のうち1本の爪には、皮膚や肉のようなものが詰まっている。まさかとは思うが、自

  身の爪で掌を抉ってこの傷をつけたのだろうか。

   口内を調べると、血液と涎にまみれたくしゃくしゃの布切れが出てきた。その布切れにはこれまたひどく歪な文字で"Your SHADOW is

  genuine?"と書かれている。以下、得られる情報はイベント№015にて図書館を調べた場合と同様である。

  これを直訳すると"お前の影は本物か"となるが、

  ・お前の影にあの化物は潜んでいないか?

  ・お前の記憶は本物か?(記憶=影のように自身の存在の後に付いて回るもの)

  というダブルミーニングとなっている。これはあくまでPLに対するヒントであり、仮に意味が分からずともさして問題ない。そのた

  め、<アイデア>などで情報を渡さず、存分に悩ませるのも良いかもしれない。筆者としてはPLも疑心暗鬼に陥れ、全能力を振り絞っ

  て生還を目指してもらいたいため、ここで<アイデア>などの技能ロールで安易に情報を明かすことには賛同しかねる。

 

 Tips.死後硬直に関して

   大村純一が亡くなったのは午前3時頃であるが、死後硬直の正確な描写は避ける方が良い。なぜならば、大村が命を落とした時間からイ

  ベントの時間まではシナリオの進行によってまちまちであり、それによって死後硬直の進行具合も変化するため不用意な描写は矛盾を招

  く可能性がある。ただし、細かく問い詰めてくるPLに対応するためにある程度の知識は用意しておく方が良いだろう。

 

 


○イベントNo.202『吊るされた探索者』

 ・イベント日時:いつでも。

 ・発生条件  :イベントNo.116において探索者が死亡する

 ・発生する出来事

   尋問されていた探索者が死亡し、その死体が電柱から吊るされる。町人の反応など、基本的にはイベントNo.201『吊るされた男』と同

  様である。

   大村を救出していた場合、吊るされた死体は見せしめとしての意味合いが強くなっている。イベントNo.201の時も見せしめを目的とし

  ていたが、どちらかと言えば踏み絵としての意味合いが強かった。大村を救出していた場合はイベントNo.201の時と違い、敵対行動を行

  う者(探索者)の存在が確かであるため、探索者に対して牽制を主な目的としている。もちろん、この死体に対して悲鳴を上げる、地面

  に下ろすなどの行動を行った場合は仲間であると特定され、狂信者は拘束しようとするだろう。

 

   探索者が町を歩いていると、ふと視界の上方に何か異物が映った。それは1mと数十センチはありそうな大きな赤黒い塊だった。木製の

  電柱から伸びる太い荒縄が首に巻き付き、時折吹く風によってゆらゆらと宙で揺れている。その全身にこびりつく血が赤黒く変色し、糞

  尿は血と混ざりあってぼたぼたと地面に垂れ流されていた。衣服は剥ぎ取られ、むごたらしい傷跡が晒されている。

   色々な液体でべたついた髪が張り付いているあの顔には見覚えがある。無惨に腫れ上がり、至るところに傷があるがあれは間違いなく

  ○○(探索者の名前)だ。

   その全身は見るも無惨な有様だ。傷が付いていないところを探す方が難しいくらいで、手や足の指に至っては何本も欠けている。人と

  しての尊厳すら保たれない、惨たらしい死に様だ。

 (仲間の惨たらしい死によってSANチェック→1/1D8)

  

  ・<医学>→吊るされていた死体

    遺体が吊るされている以上目視でしか判断することができないが、あの有様はあんまりだ。特に、欠けた手指や足趾、胴体に突き刺

   さったままになっている鋭く不揃いなギザギザ状の刃物(冷凍ナイフ)が○○にどれほどの苦痛を与えたかなど想像すらできない。ま

   さに死んだ方が幸せという状態だろう。

  (SANチェック→0/1。<医学>に成功した場合、上記SANチェックに加えて判定がある)

   ここまでが吊るされた探索者から目視で得られる情報である。彼(または彼女)の死体を下ろし、さらに詳しく調べた場合は以下の情

  報が得られる。

  ・<医学>→吊るされていたの遺体

    首に残る荒縄の痕から推測するに、これは死後しばらく経ってから縛られたものだろう。欠けた手指や足趾、胴体の刺創もこれと同

   様、傷の状態から判断するに死後しばらくしてから傷つけられたものだろうか。死してなおここまで遺体を傷つけるのは一体何者で、

   何の目的があってのことだろうか。

○イベントNo.203『影から逃れるために』

 ・イベント日時:~AM11:00

 ・発生条件  :イベント№201『吊るされた男』以降、屋外にいる

 ・発生する出来事

   黒羽は探索者よりも早くに大村純一の遺体を発見していた。黒羽は取り乱すことも騒ぎ立てることもなく、ただ静かにその場を立ち去

  っていた。ただし、黒羽も内心穏やかではなかった。敵に捕らわれるとあのような目に合わされるのかと考えると背筋が凍る思いだ。も

  はや悠長に構えている場合ではない。最悪、自分だけでも脱出して助けを呼ばねばならならないと腹をくくる。そして以前より準備して

  いた脱出計画を実行に移すと決意を固めたのだ。

   このイベントでは、後述の『▼黒羽の脱出計画』を実行しようとする黒羽から、集合時間と場所を書いたメモを渡される。黒羽はイベ

  ントNo.010の時とは異なる方法で情報を伝えようとする。

   探索者が町を歩いていると、不意に何か小さいものが頭にこつんと当たった。どうやらその小石だか何だかの小さい物体は右側から跳

  んできたらしい。そちらへ視線を向けると、建物の影に一瞬人影が見えたような気がした。その場所へ行ってみると、すでに小石を投げ

  た人物はいなくなっていた。しかし足元には4つに折り畳まれた紙が落ちていて、またも「独りで見るように」と書かれている。筆跡か

  ら見てもおそらく前回のメモを書いたのと同じ人物だろう。内容は以下の通り。

 

  "PM15:00に山門街道沿いの廃屋へ。命に関わる"

   山門街道は町から西へ延びる道であり、探索者達のそのことは知っている。黒羽はPM15:00に拠点として使っていた山門街道沿いの廃

  屋に探索者達を集め、そこにたどり着けた者で脱出するつもりでいる。しかし、探索者達に橘田が同行している場合、この動きが狂信者

  達に露見するため計画は失敗に終わる。

   また、小石を投げて姿を消そうとする黒羽に対し、PLが提案した場合は<追跡>技能を試みることもできる。<追跡>に加えて黒羽

  との<DEX>対抗ロールに成功した場合、黒羽に追いつくこともできる。黒羽に追いついた場合、自分達は以前協力関係にあったこと、

  すぐにでも脱出しなければ危険であること、これからの計画(下記をかいつまんで説明すれば良い)を聞くことができるだろう。そし

  て、車を調達する黒羽の代わりに、えんふくさまの石像から陰陽石を盗んで欲しいと頼まれる。探索者が承諾しない場合は、全て黒羽が

  独りで行うこととなる。また、探索者が同行を申し出ても、人数が増えるとむしろ危険であるとしてこれを断る。

  

  ▼黒羽の脱出計画

    前回は夜間に脱出しようとしてあの化け物に襲われた。意味があるかわからないが、今回はまだ日が昇っているうちに脱出を決行し

   よう。予定は土曜日の夕刻前。なぜなら、明日の日曜日にこの村から何らかの重要物資(薬物原料のことだが、黒羽はそこまで掴んで

   いない)を大量に運び出すらしく、町の人員の大部分は今日の午後から農園の方へ行くという情報があるのだ。まさに脱出にうってつ

   けだ。

    地図の入手こそできなかったが、盗み見ることはできた。町の西、山門街道から出れば日が落ちるまでに隣町まで行くことができる

   だろう。道中には集落も1つある(狂信者の集落であり、監視所的存在であるが黒羽はそのことを知らない)ことだし、隠れる場所には

   事欠かないはずだ。

    脱出用の車も見つけてある。毎週火・木・土曜日の昼過ぎに食料などの日用品を積んだ軽トラックが町へ戻ってくる。そのトラック

   は荷降ろしの後すぐに燃料が補給され、役場の裏手に停められるのだ。町の人間が農園へ出払って人目が少なくなる午後ならば、隙を

   ついて奪うこともできるだろう。そのために輸送係の人間から苦労してスペアキーを盗み出したのだ。あとは彼らを待ち、脱出を決行

   するのみだ。

   これらを探索者にかいつまんで説明するならば、以下の情報を開示すれば良いだろう。

    ・今日の午後、町の人間の多くが農園へ行くため他の場所で隙が生まれやすい

    ・昼過ぎにも軽トラックを盗み出すチャンスがある

    黒羽はこのような脱出計画を練っているが、失敗する要因が2つある。1つは、道中の集落は狂信者達の罠であり、立ち寄るのは非常

   に危険であることを知らないため、ほとんどの場合立ち寄ってしまいおそらく拘束されるであろうこと。もう1つは、数日前に盗み出し

   たスペアキーを用いて車を盗もうとしていること。狂信者達は当然これに気付いており、車の燃料計に細工を施している。少し考えれ

   ば、数日前に鍵を盗んだことに敵も気づくはずであるとわかると思われるが、黒羽の中にある焦燥感が思慮深さと正常な判断を奪った

   のだ。

    また、多くの場合探索者に同行しているであろう橘田からも情報が洩れるため、この脱出計画が成功する見込みはない。

 

 

 

○イベントNo.204『包囲網』

 ・イベント日時:土曜日、PM12:00~13:00

 ・発生条件  :上記時間に廃屋にいる

 ・発生する出来事

   黒羽と探索者がいる廃屋の周辺を狂信者が取り囲んでいる。本来は陰陽石と車を盗み出してきた黒羽が狂信者に捕らわれるイベントで

  あるが、指定されていた集合時間より2時間早く到着していた場合、これに巻き込まれることとなる。廃屋を取り囲んでいるのは警官に扮

  した狂信者であり、人数は10人前後。周辺集落と薬物原料保管庫以外の警官を全員集めており、警察車両も2台投入している。

   包囲されていることに気が付くためには以下の技能が必要であり、最悪の場合は奇襲を受けることとなる。成功する技能によって展開

  が異なるため、それも合わせて記載する。

  <目星>→廃屋周辺

    廃屋は窓が塞がれており、中からは外の様子が分かりづらい。そのため、探索者から周辺を警戒すると提案した場合のみこれを用い

   ることができる。廃屋の周辺に隠れている警官を発見することができる。成功した場合には隠れてこちらの様子を窺う警官が数名発見

   できる。決定的成功の場合、さらに正確な人数がわかるだろう。

    <目星>に成功した場合、かなり早い段階で警官に気が付くことができる。探索者が何らかの行動を起こした場合、2~3分で廃屋

   突入してくるだろう。これだけ離れていれば車に飛び乗って逃げることもできるだろうが、車は細工されており燃料がほとんど入っ

   いないため、早い段階で動かなくなるだろう。

 

 

  <聞き耳>→周辺の物音

    突入に際し、警官が廃屋を取り囲む物音に対して用いることが出来る。<聞き耳>を用いる時点で既に廃屋を取り囲まれており、こ

   こから行動を起こしたところで戦闘は避けられない。

    探索者達が取りうる方針としては、廃屋の中で警官を迎え撃つか、打って出るかの2つしかないだろう。また、車の前にも警官は待機

   しているため、乗り込んで逃げるためにはすみやかに彼を倒さなければならないだろう。

 

 

  ・いずれの技能にも失敗した場合、または迎え撃つ場合

    警官達が廃屋に突入してくる。突如として乱暴に扉が開かれ、警棒を持った警官が3人入ってくる。その向こう側、扉の外には拳銃を

   構えた警官が2人見える。背後からも声がしたかと思えば、壊された窓からも警官が銃を向けていた。

    警官は銃を構えているが、これはあくまでも威嚇である。警棒を持った警官が探索者を取り押さえようとしている間は口々に「降伏

   しろ」と叫ぶだけで発砲はしない。ただし、探索者が扉や窓に向かった場合や、警棒を持った警官を3人とも倒すと発砲もやむなしとし

   て攻撃に及ぶ。

     

○イベントNo.205『不審な車』

 ・イベント日時:いつでも

 ・発生条件  :車で黒ヶ峰町内を走る

 ・発生する出来事

   黒ヶ峰町において車を所持しているのは役所や警察などの行政や、黒田織物工業や橘田農園などの会社を装っている組織のみである。

  個人の資産としての車両は黒ヶ峰町には存在しておらず、車に乗っているのは輸送係や物資調達係の住人・狂信者のみである。黒ヶ峰町

  の住人は互いに顔見知りであり、誰がどのような職に就いているかも把握している。故に、輸送係や物資調達係でないにも関わらず車を

  走らせる探索者達は他の町人からしてみれば不審である。また、全ての車両には『黒ヶ峰町役場』や『黒田織物工業』のように団体名が

  入っているため、そこの職員でもないものが乗り込んでいるのは明らかに怪しい。

   探索者が車を止めると、住民が声をかけてくる。「なぜ○○(団体名)の車に乗っているのか」「この車で何をしているのか」「もし

  かして盗んだのか」などを笑顔で問い詰めてくる。不審であると感じた住民は静かにその場を去り、警察に通報するだろう。

○イベントNo.206『隠れ家』

 ・イベント日時:いつでも(金曜日でも可)

 ・発生条件  :泉を訪れる

 ・発生する出来事

   泉から少し離れた場所(徒歩で10分ほどの距離)に廃バスが停まっている。前回の脱出に失敗した後に黒羽がこれを発見し、何かあっ

  た時に身を隠す拠点として荷物を持ち込んでいるのだ。発見するためには泉で<追跡>を成功させ、踏み折られた小枝や折れ曲がった落

  ち葉などの何者かが通った痕跡が一定の方向へ続いていることに気が付く必要がある。

   廃バスは相当年季が入っているようで、鉄剥き出しのレトロな車体は錆び付いていない箇所を探すほうが難しい。タイヤのゴムは劣化

  してひび割れ、ところどころが崩れてしまっている。これでは間違っても走りそうにない。

   扉は相当重たかったが、どうにか人力で開くことができた。車内も荒れ放題だが、最後部の座席付近に真新しいタオルケットとナップ

  ザックが置いてある。ナップザックの中に入っている物は以下の通り。

  ・個人情報が書かれた手帳

  ・探索者本来の所持品

  ・懐中電灯、および予備の電池

  ・弾薬(4発)

 

   個人情報が書かれた手帳であるが、これは前回脱出を試みた者達が黒ヶ峰町での記憶と(断片的に思い出せる)本来の記憶を出来うる

  限り記録したもの。脱出に失敗した後に唯一お参りを逃れた黒羽が回収し、保管していた。

   探索者本来の所持品であるが、これは前回脱出を試みた際に取り返した品々である。ここで手に入るのは手帳や愛用の道具など。スマ

  ートフォンや携帯電話は記録されている情報が役に立つため、別の場所で解析されているようで黒ヶ峰町では保管されていない。(仮に

  継続探索者が所持していた場合)何らかのアーティファクトについても同様で、役に立つ品であるため黒ヶ峰町以外の場所に持ち去られ

  たようだ。また、ライターやマッチなどえんふくさまに有効打を与えかねない物品も狂信者が厳重に管理しているため、取り返せなかっ

  た。

   これらの物品を発見した場合、探索者本来の記憶がコマ送りのようにフラッシュバックする。しかし、陰陽石を浄化して本来の記憶を

  取り戻していなかった場合は偽の記憶と混濁することとなり、SANチェック→0/1d3

   黒羽がここへ来るタイミングであるが、イベントNo.201が発生直後かイベントNo.008で大村を救出した直後である。大村の死、または

  探索者の反攻によって状況が逼迫してきたため、ここで保管していた予備の弾薬を取りに来るのだ。ここで鉢合わせて個人情報が書かれ

  た手帳や探索者本来の所持品について問い詰めた場合、黒羽は知りうる情報を全て話し、これ以降同行する。しかし、黒羽が廃バスに滞

  在する時間は非常に短いため、上記イベントの後に一切の寄り道をせずにここまで来る必要がある。なのでここで出くわすことはほぼな

  いと思われる。

bottom of page