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 01.概要

1、舞台:寂れた田舎町(朽ちた廃墟) 黒ヶ峰町 

  黒ヶ峰町は、一般的な居住地から山をいくつか越えた先にある山間部の村である。人口は100~200人ほど。村への道は大きなものがな

 く、通行できるのはマイクロバス程度の車両が限度である。周辺の街道上には小さな集落(※1)がいくつかあり、そこの村人達との交流

 も盛んである。

  街の主産業は農業と織物。農園がいくつかある他、おんぼろの軽トラックで運び込んだ糸を織物に加工しては街へ売りに行っている。織

 物工場は町に複数あり、もっとも大きな工場(といっても一般的な町工場ほどの大きさだが)としては黒田織物工業がある。村で見かける

 のはほとんどが軽トラで、大抵の車は老朽化が進んでいるためまともに使える車のほうが珍しい。

  というのが偽りの姿。実際にはただの廃墟であり、実態は『膨らんだ女教団』が儀式に使う薬物の原料を栽培している麻薬村である。膨

 らんだ女教団(本シナリオにおいては基本的に詳細は必要ないが、もし必要な場合は日本版サプリであるクトゥルフ2010の52ページ参照

 のこと)は東シナ海に拠点があり、そこで世にもおぞましい冒涜的な儀式を(たぶん)繰り返しているのだ。その儀式やその他用途で用い

 られる薬物の原料を黒ヶ峰町で栽培し、国外に運び出しているというわけである。織物業は薬物栽培や輸送においての偽装目的であり、そ

 れ自体の収益は追求していない。

  上記の薬物栽培、織物業の労働力や町の管理運営に用いられているのは偽の記憶を植えつけられた元一般人であり、探索者達(※2)も

 まさにこれにあたる。誘拐されてきた犠牲者達はお参りと呼称される儀式(※3)の後、黒ヶ峰町の住人としてその生涯を終えることにな

 る。探索者達はこの儀式の途中であり、2日後に控えた最後の儀式を終えると本物の記憶を取り戻す機会を永遠に失い、ロストとなる。

  町には役場が存在するが、カモフラージュのために運営されている施設である。職員は大半が誘拐されてきた犠牲者達であり、もちろん

 正規の自治体ですらない。公営(とされている)施設はごく少数であり、学校や図書館などは存在しない。学校と図書館は閉鎖されたこと

 になっており、その痕跡はもはや建物しか存在しない。その他、町の施設に関しては「6、町のインフラ・公的施設」を参照されたし。

 ※1:狂信者達の監視所的な存在。主要な道路上にあり、内外からの通行者を監視している。基本的には

    さらに施設を減らした黒ヶ峰町であり、建物は一般住居と交番、雑貨品店(を装った食料貯蔵庫)、

    車両置き場、燃料貯蔵庫のみである。人口は10~20人程度。

 ※2:基本的に麻薬栽培、織物業のために人員を攫ってくるが、時に自動車整備工や建築技師など町の運

    営に不可欠な専門知識を有する人物を攫うこともある。

 ※3:詳細は下記「5、偽の記憶とお参り」の項目を参照されたし。

2、宗教や風習 

  『えんふく(へんふくが訛ったもの)さま』という土着の神様が崇められている。町はずれには翼が生えた人型の石像がある。四肢がある

 その石像は台座の上にしゃがみ込むような格好をしており、まるで西洋のガーゴイルのような格好だ。その石像は右手をまっすぐ前に差し

 伸べており、掌には黒い宝石が埋め込まれている。

  住人は週に一度お参りし、この"陰陽石"という宝石に額を当て祈りの言葉を捧げることで、平穏無事で幸せに生きていけるという言い伝

 えを守って暮らしている。これはもちろん偽の記憶を植え付けるための儀式であり、拒否しても無理矢理連れて行かれる。さらに拒否し続

 ける場合は町民総出で実力行使に出るだろう。

  また、町は"えんふくさま"の加護があり、夜間は常に分厚い雲に覆われているが、町民達がそのことに違和感を覚えることはない。

 

3、えんふくさま 

  正体は「闇を彷徨う影」。日中、太陽の下では活動できないため石像の影に潜んでいるか、建物や人間の影に潜んでいる。夜間は分厚い

 雲で月光を遮り、暗闇である限りどこまでも行動することができる。弱点は日光や月光、炎の灯りなどの自然の光であり、人工光には一切

 の影響を受けない。

  詳細は別紙『闇を彷徨う影』参照のこと。

 ○えんふくさまの言い伝え

  「翼人あり。その翼、大鷲の如く、名はえんふく。その瞳は灼熱の様。凶をふせぐによろし」

  意味合いとしては書いてある通り。中国の奇書『山海経』西山経3巻の章莪山の項に記載がある『天狗』の項目を元に、狂信者達が作り

  替えたもの。特に深い意味はなく、厄除けの神様としての口伝として黒ヶ峰町に伝わっている。

  

  元の伝承は下記の通り。かなりに通っているので、<人類学>などKPが適切と思う技能判定に成功すれば気が付くことができるかも知れ

  ない。中国における天狗は日本のそれと異なり、文字通り天の犬のような存在である。

  「獣あり。その状狸の如く、白い首、名は天狗。その声は榴榴の様。凶をふせぐによろし」

  (※状狸:山猫を指すと考えられる)

4、偽の記憶とお参り 

  探索者達は偽の記憶と虚構に支配されており、本物の記憶は時折夢に垣間見るだけである。街は寂れ、荒れ果て、悲惨な有様であるが、

 探索者をはじめとした偽りの住人達の目には綺麗な建物や綺麗な道、綺麗な人々の姿しか写っていない。これは陰陽石による記憶操作と認

 識阻害の産物である。どういうことかと言うと、「一般常識を書き換えられ、目の前の物事・物品を当たり前と思い込んでいる」か、「え

 んふくさま、ひいては教団にとって都合が良いものだけを知覚する」状態である。

 しかし、SAN値を喪失して発狂状態になったときには、虚構と真実が入り混じった光景を垣間見ることができる。

  お参り(儀式)自体は簡単なもので、週に一度だけ「えんふくさま」の彫像前にて行われる。町民は石像を取り囲むように並んで立ち、

 お参りを受けた回数が少ない順に臨むこととなる。手順としては石像の前に跪き、えんふくさまの掌にある陰陽石に額を当て、下記の文言

 を3回唱えるだけである。その時、取り囲んでいる他の参加者も同時に同じ内容の文言を唱えている。

 「えんふくさまえんふくさま、私めに平穏とお導きをお与えください」

 この言葉自体に深い意味はなく、額を陰陽石に触れさせるという行為そのものがお参りの目的となる。拒否した場合は取り押さえられ、力

 ずくで額を陰陽石に押し付けられる。

  お参りは3回に分けて行われ、徐々により確固な記憶を植えつけられていく。3回目の最後のお参りを終えると本物の記憶を取り戻す機会

 を永遠に失い、その生涯をえんふくさまと黒ヶ峰町に捧げるようになるだろう。

  また、えんふくさまの石像に埋め込まれている陰陽石であるが、これはラブラドライトを元に作られたアーティファクトである。集中力

 を高め、潜在能力を引き出す効果を持っているが、長期間えんふくさまに使われていたため変質し、そのままでは人間が用いることはでき

 ない代物となっている。

  陰陽石は目を瞑って数秒間額に当てることで効果を発揮するのだが、もし浄化していない陰陽石を用いた場合や所持したまま眠りについ

 た場合などは、えんふくさまが今まで奪った記憶が奔流となって探索者を飲み込む。超常的な体験をした探索者はSANチェック→0/1D3を

 行う。

  浄化の方法は天然石・パワーストーンのオカルト的な情報と変わらない。そのため、<オカルト>や<地質学>に成功すればこれらの方法

 を思いつくだろう。技能に失敗した場合も、黒羽が知識として持っている。ただし、黒ヶ峰町はえんふくさまの加護によって夜間はぶ厚い

 雲に覆われているため、月光を用いることはできない。そのため、町外れにある泉か清流を使うことになるだろう。

  石像から陰陽石を取り外し、なおかつ浄化した状態で額に当てると、自分本来の記憶を取り戻すことができるだろう。また、それ以外に

 も目を瞑って宝石を額に当てることで頭が冴え渡り、集中力や思考力が研ぎ澄まされる。ゲーム的な数値としてはMP1消費ごとに全技能補

 正2%(クトゥルフ神話技能除く)、継続時間=消費MP×分。

  えんふくさまはこの陰陽石を用い、<記憶を植え付ける>を行っている。陰陽石を用いてない場合は数時間分の記憶を失わせることしか

 できないが、陰陽石で能力を増強すると今までの記憶を全て書き換えることもできるようになる。偽の記憶を植えつけられた状態で心理学

 を使用した際には、成功失敗ファンブルクリティカルに関わらず、"こちらに好意を持っている"となる。しかし、記憶を取り戻して使用し

 た場合、通常と同じ処理となる。

5、町のインフラ、公的施設 

 ○電気

   町はずれの山間部にフェンスで囲われた発電設備があり、黒ヶ峰町に住んでいる電気技師(もちろん攫われてきた)が燃料の補給や点

  検整備を行っている。発電設備はエンジン、発電機、燃料タンク、接続用の設備などをフルセットにしてコンテナに収めた大型のコンテ

  ナ型発電機を用いている。

  燃料であるが、下記「○燃料」の項目を参照されたし。

 ○燃料

   2台の小型移動タンク貯蔵所(※1)により町へ燃料を運んでいる。危険物取扱者免状を所持しているのは(もちろん)攫われてきた犠

  牲者で、近隣各都市を巡りこまめに燃料を買い付けている。町には備蓄施設を兼ねた小さな給油所が1件あり、ここから各車両、発電設

  備へと燃料を補給している。また、予備として町外れに燃料タンクが2箇所設置されているが、ほとんど用いられていない。

  ※1:灯油の移動販売車をイメージしていただきたい。詳細は下記+WEB画像検索を参照。

    →https://www.kikenbutu.biz/blog/2015/04/09/170

      また、輸送、貯蔵方法は基本的に消防法に基づいて行っているが、市町村への届出は行っていない。

    →http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO186.html

 

 

 ○上水道

   存在しない。井戸を使え井戸を。もしくは清流に汲みに行け。

 ○下水道

   下水処理場は存在せず、農業集落排水施設という大型の浄化槽を用いている。浄化槽とはあらゆる生活排水を処理し、自然に放流する

  ことを目的とした設備である。浄化槽及び関連施設は浄化槽管理士(もちろんこいつも攫ってきた)が点検、維持を行っている。

  これ以上の知識は不要であると思われるが、一応概要を添付する。必要な場合は参照されたし。

  ・下水道とその他の汚水処理施設

   →http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/shikumi/sonota-osuil.html

  ・農業集落排水施設のしくみと効果

   →http://www.pref.iwate.jp/toshigesui/gesui/gaiyou/008560.html

  ・農業集落排水施設の整備

   →http://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/nn/n_nouson/syuhai/

 

 

 ○固定電話・携帯電話

   電話線は存在しない。町人が使っているのは固定電話機ではなく無線機であり、陰陽石による認識阻害で電話機だと思い込んで使って

  いる。電波が届く範囲は山中の集落までであり、黒ヶ峰町に存在する機器では外界との連絡は不可能である。

   携帯電話、スマートフォンは存在しない。黒ヶ峰町に来た際に没収されている上、そもそも基地局がないため電波が繋がるわけがな

  い。そのため、仮に携帯電話を取り戻しても無用の長物である。電波が繋がるのは近隣市町村を目視できる距離に近づいてからである。

 

 

 〇ガス

   プロパンガスなどを含むあらゆる火種はえんふくさまにとって脅威となるため、黒ヶ峰町からは極力排除してある。そのため、各家庭

  の調理器具などは古びた建物に似つかわしくないIHが導入されている。これは全ての建物において同様であるが、別途記載の学校跡や

  図書館跡など使用されていない建物は旧来のガスコンロである。ただし、ガスはとっくに無くなっており、火を点けることはできない。

 

 

 ○インターネット

   もちろん存在しない。PC自体は役場や診療所に置いてあるが、インターネットに接続できないためその用途はHDDへの電子情報の

  記録、参照のみである。

   インターネット接続を要する操作を行った場合は接続エラーが表示されるが、陰陽石による認識阻害で正しく認識することができな

  い。例えば、探索者がインターネットで何かを検索した場合、探索者の目には自身の脳内で勝手に構築されたWebサイトもどきが映る

  こととなる。その性質上、インターネット検索で得られる情報は検索者がすでに知りうる情報のみであり、検索の際には<コンピュータ

  ー>などではなく検索内容に対応した技能ロールを必要とする。プレイヤーがよほどぼんやりしていない限り、何らかの違和感を感じて

  くれることだろう。

  (例:「星の動きを検索しよう」→<天文学>、「都市伝説を検索しよう」→<オカルト>)

 

 ○警察

   警察機構を模した一集団が存在する。攫ってきた犠牲者は極小数で、ほとんどが狂信者で構成されている。施設としては黒ヶ峰町に小

  さな警察署と交番が1件、周辺の集落にも交番が1件ずつ存在する。人数は述べ25人ほどで全員が回転式拳銃と警棒で武装しており、必要

  とあらば武力行使も辞さない。また、パトカー代わりの軽車両や自転車等も所有している。

   この規模の町にしては明らかに過剰な人数であり、陰陽石の認識阻害をある程度解けば気づくこともできるだろう。

 ○消防

   専門の消防隊員はいない。火事の際は主に警官が中心となり町民が招集され、消化器と貯水池の水を用いて消火活動を行うこととな

  る。消化器や貯水池は、この町にとっての重要施設である薬物原料の保管庫や警察署、発電機付近に多数配置されており、その他施設は

  あまり重要視されていない。特に薬物原料の保管庫には過剰な数が設置されているため、違和感を覚えるだろう。

 

 

6、狂信者達の行動規範 

  はじめに明記しておくが、筆者はCoCにおける恐怖の演出は主に未知への恐怖であると考えている。要するに、わけがわからんから怖

 いのである。銀行強盗や暴行犯といったありきたりの犯罪者も確かに怖いが、少なくともその意図は読める。神話生物や狂信者はそれらと

 は恐怖の種類が異なり、彼らが何を意図し、何をしでかすかわからないからこそ怖いのだ。故に、恐怖を演出したいのならば黒ヶ峰町が薬

 物原料の栽培を目的とした町であることや、これから記す狂信者達、偽りの住人達の行動規範を探索者たちに明かす必要は一切ない。勝手

 に想像させて勝手にびびらせておこう。ネタばらしは酒の席での良い肴だ。

 

  狂信者達であるが、最大の目的は「薬物原料を栽培し、無事に運び出すこと」である。そのために必要なのが町の管理・運営であり、基

 本的には以下の優先順位で行動している。

 

  ①黒ヶ峰町の存在を隠蔽     ↑ 高

  ②偽りの住人達の管理      |

  ③薬物原料の栽培        優先度

  ④運送業、織物業などの運営   |

  ⑤新たな住人を増やす      ↓ 低

 ①黒ヶ峰町の存在を隠蔽

   まず第一に優先されるのが、黒ヶ峰町の存在を行政に対して隠蔽することである。近隣市町村の役人や警察機構の一部にも、偽りの記

  憶を植え付けての精神操作や贈賄による懐柔などの手法を用いており、黒ヶ峰町ひいては教団の存在を隠蔽することを最優先に行動して

  いる。万が一、集団脱走者が完全に逃げ延びて情報の隠蔽に失敗したり、狂信者が拘束・尋問される等、発見のリスクが高い事案が発生

  した場合は以下の手順に沿って6時間以内に街を放棄する。

  ・薬物原料と畑の焼却。電子機器や台帳など記録媒体を確保して持ち出す(もしくは完全に破壊)。

   また、その他教団の痕跡となりうるものも同様である。

  ・偽りの住人を拘束し、一箇所に集める。夜になればえんふくさまこと闇を彷徨う影が痕跡を残さ

   ず始末してくれる。何らかの事情でこれが達成できない場合、警官の銃と備蓄燃料で対処する。

   身元の判別が困難な状態にすること。

  ・後日、陰陽石を回収。もしも警察が捜査を行っていたとしても、よもや妙な石像やそこに埋め込

   まれた黒い宝石のようなものが重要な証拠であるとは思うまい。

 

 

 ②偽りの住人達の管理

   次に優先されるのは②偽りの住人達の管理である。管理と言っても、お参りを3回とも終えて完全に支配下に置かれた住人には手間取

  られることはない。そのため、基本的にはお参りを1回か2回しか済ませておらず、完全に記憶を操作できていない者を対象としている。

  これも以下に優先順位を記す。

 

  ①脱走者の確保(可能なら捕獲、できない場合は殺害。死体の処理は闇を彷徨う影が行う)

  ②えんふくさまのお参りの運営。つまり記憶の操作。

  ③内偵(完全に記憶を操作できていない者を相手に、記憶を取り戻しかけていないか探りを入れる)

  ④職務(多くの場合は織物業)への誘導、生活のルーチン化。

 

 

 ③薬物原料の栽培

   次に優先されるのが③薬物原料の栽培である。この業務で用いられるのはお参りを終えた者(以下、終了者とする)のみであり、記憶

  を取り戻す(あるいは混濁する)可能性があるお参りを終えていない者(以下、未終了者とする)が用いられることはない。業務は普通

  の農業とほとんど変わらず、なぜか見張りがいる倉庫と警官に扮した狂信者がうろついているという点以外は一般的な畑と変わらない。

 

 ④運送業、織物業などの運営

   その次が④の薬物原料栽培以外の産業である。黒ヶ峰町には運送業、織物業、役場や給油所、食料品店の運営など様々な種類の仕事が

  あるが、基本的には以下の原則に従って仕事を割り振っている。

 

  ・黒ヶ峰町の外に出る必要がある。

  ・ルーチンワーク化しづらい。頭脳労働。

  ・単独で行う。

  上記の要素を含むものは終了者にしか行わせない仕事である。反対に、

 

  ・黒ヶ峰町の外に出ない。

  ・単純労働である。

  ・不特定多数の監視下に置かれる(単独行動は取れない)。

   上記3点の要素を満たすものは未終了者の仕事である。そのため、未終了者はこれらの要素を満たしている織物業の町工場に回される

  ことが多く、何らかの事情がない限りその他の仕事に回されることは稀である。

   また、基本的には黒ヶ峰町で記憶の操作をされる以前の仕事とは異なる仕事をさせる。記憶とは芋づる式のようになっているものであ

  るため、なるべく黒ヶ峰町に来る以前の記憶と切り離して思い出すきっかけを与えないようにしているのだ。しかし、いきなり全く別種

  の仕事をさせると違和感を覚える危険性があるため、儀式の回数を追うごとに徐々に徐々に仕事内容を変えていくのである。

   シナリオ中で探索者が行っている仕事であるが、「イベント一覧」フォルダ内「導入」に一例を記す。あくまでも一例であるため、探

  索者の設定に基づいて各人の判断で用意しても良い。

 

 ⑤新たな住人を増やす

   最後に⑤新たな住人を増やすことであるが、積極的には行っていない。増やす場合であるが、主に能動的な理由と受動的な理由に大別

  される。どういうことかというと、前者は黒ヶ峰町の運営に必要な技能を手に入れるため。後者は黒ヶ峰町の隠蔽などのため仕方なく行

  われる。

   もう少し詳細に記しておく。能動的な理由による拉致は前述の通り、黒ヶ峰町の管理運営に必要な技能を持った住人を手に入れるため

  に行われる。電気技師や自動車整備工などのエンジニアから、役所や警察機構など仮の行政機関を運営するために要する知見をもたらす

  人物など様々である。記憶が混濁する可能性のある儀式未完了者になるべく違和感を与えないようにするため、可能な限り外界に似せて

  おく必要があるのだ。

   そして受動的な理由による拉致である。文面だけ見ると意味がわからないが、前述のものと区別するために規定した便宜上のものであ

  ると割り切っていただきたい。これはどういうものかというと、例えば肝試しにやってきた集団や、行方不明者の家族に依頼されて嗅ぎ

  まわっている探偵など、放置すれば黒ヶ峰町の存在が露見しかねない事態に対して仕方なく行う手段である。

   狂信者達は基本的にこれらの行動規範に基づいて行動している。しかし、ここまで記入しておいてから言うのもなんだが、必ずしもこ

  れに則って行動させなければならないなどということはない。彼らは機械でもAIでもなく、ただの(頭がおかしい)人間なのだ。当然な

  がら融通を利かせて行動することもできる。

   ならばなぜこの項目を記載したかというと、彼らの思考、行動パターンをKPが正確に把握しておくことで想定外の事態に対しても速

  やかに対応することができ、シナリオ崩壊の危険性は限りなく低く抑えられるからである。 

 

   次に終了者、つまりは完全に黒ヶ峰町に同化した住人であるが、その行動原理は至って単純である。単純さにおいてはSF作家アイザ

  ック・アシモフが提唱するのロボット三原則と大差ない。

 

  ①自らの生命の危機が迫ろうとえんふくさま(狂信者)の意思に従う。

  ②与えられた自らの役割(記憶)に忠実に従う。倫理観などは持ち合わせない。

  ③黒ヶ峰町において狂信者が発生させるあらゆる事態に対し、何も問題はない日常であると認識する。

7、探索者達の現状 

  探索者達であるが、すでに2回目の儀式を終えている。捕まったのは2週間前のいずれかのタイミングであり、その週末の日曜日に1回目

 の、翌週の日曜日に2回目のお参りを済ませている。シナリオ開始の日は金曜日であり、2日後の日曜日に最後のお参りを済ませると永遠に

 脱出のチャンスを失う。

  探索者達は1回目と2回目の儀式の間、つまり先週に脱走を試みたものの失敗して捕らえられ、再びお参りに参加させられている。大まか

 な時系列は以下の通りである。

  ○月 第一週(日曜日):探索者達、及び捕らえられた数名の被害者が黒ヶ峰町に到着する。

       |     到着したその日の夜、えんふくさまのお参りで記憶を植え付けられる。

       ↓

  ○月 第二週(平日):木曜日から金曜日にかけて、探索者が違和感に気づき記憶を取り戻し始める。

       |     未終了者のうち数人の記憶も呼び覚まし、協力者を募る。

       |     混濁する記憶を手繰りながら脱出の準備を進めるが、狂信者に露見する。

       ↓

  ○月 第二週(日曜日):何人もの協力者が捕えられる中、探索者達は諦めずに脱出を決行する。しかし

       |     えんふくさまへの対抗策がなく、再び捕らえられ脱出は失敗に終わってしまう。

       |     だが、探索者達の行動は無駄ではなかった。騒ぎに乗じて狂信者の目をかいく

       |     ぐり、協力者の1人がお参りを免れたのだ。彼(もしくは彼女)は町に潜伏し、

       |     仲間の救出と脱出の機会を虎視眈々と伺っている。

       ↓

  ○月 第三週(金曜日):シナリオ開始日。

             探索者の一部は前回の脱出や、黒ヶ峰町に来る以前の夢を見る。前回のお参り

             を逃れた協力者も、こちらの記憶が戻っているかを確かめつつ接触を図る。

8、シナリオ目標と脱出 

  ここまでが舞台となる黒ヶ峰町と運営する狂信者達の情報である。彼らはこの麻薬村の管理運営に努めるわけだが、ならばどうやってこ

 の町から脱出すれば良いのだろうか?

 脱出のために必要と想定されるものは以下の通りである。

  ・周辺の地図(主要道路上に点在している集落は全て狂信者側の罠である。また、山中を行く場合は地図がなければ遭難は必至である。)

  ・陰陽石(自分の記憶を取り戻すため)

 シナリオ目標と報酬であるが、以下に示す。

  ・メイン:街からの脱出

  ・サブ①:記憶の回復      成功報酬:SAN+1d4  失敗:SAN-1d10

   サブ②:協力者の生還     成功報酬:SAN+1d4  失敗:SAN-1d4

   サブ③:えんふくさまの撃破  成功報酬:SAN+1d6

   サブ④:石像の破壊      成功報酬:SAN+1d4

  サブ④の理由は至極単純。悪趣味な石像をぶっ壊して清々しい気分になれるからである。

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